2024.09.23
【つなぐNOTE#3】企業雇用型地域おこし協力隊-井⼝栄⼦さん
東日本大震災で全村避難を経験した飯舘村は、ふるさとの再生へ、総力戦で一つひとつの課題に向き合ってきました。その道のりに想いを寄せ、あるいは新たな可能性を見出して、色とりどりの活動を展開しているのが地域おこし協力隊の皆さんです。
今回は、企業雇用型地域おこし協力隊として「あがべご訪問看護ステーション」で働く井⼝栄⼦さんにお話を伺いました。令和6年5月に協力隊に就任した井口さん。協力隊を目指した時のこと、現在の活動の様子、飯舘暮らしの魅力などについて、語っていただきました。
出会いに導かれ、協力隊として訪問看護の道へ
「いいたてクリニック」で診療にあたる本⽥徹先⽣のことをテレビで知りました。移住をして訪問診療にも⼒を注ぐ本⽥先⽣の取り組みに感銘を受け、先⽣が副会⻑を務める「健やかに暮らせるいいたての会」の催しなどに⾜を運ぶようになりました。
私は南相⾺市の出⾝です。⾼校を卒業すると同時に故郷を離れ、看護師となり、関東圏の病院で仕事をしてきました。仕事をしながら3⼈の⼦どもを育て、栃木県内の国⽴病院で定年を迎えて、南相⾺市へ住まいを移しました。
私は当時、脳出⾎のため40代で障害を負った夫と、認知症を患う⺟の介護をしていて、南相⾺市で2⼈を看取りました。そして1⼈になり、これからのことを考えた時に、飯舘村で働いてみたいという思いが芽⽣えていました。
私は、村内の催しなどに通う中で、本⽥先⽣や役場の⽅に相談し、企業雇⽤型地域おこし協⼒隊として、「あがべご訪問看護ステーション」で働くことを決意しました。「やりたいことをやってみよう」と。
地域をつなげる協力隊になりたい
夫の1周忌を経て、飯舘村に移住しました。現在は、企業雇⽤型地域おこし協⼒隊として「あがべご訪問看護ステーション」に勤務しています。訪問看護はもともとやりたかった仕事でもありました。「丈夫なうちは働き盛り」と思って頑張っていくつもりです。
働き始めて、地域の皆さんと連携している職場であることを実感しました。皆さんの中に⾃ら⼊っていく姿勢と丁寧なコミュニケーションを⼼がけ、地域につながりをつくっていきたいと思っています。
病院とは違う環境で医療に携わる現場には、⼤変な⾯もありますが、他では得られない学びもあります。若い⽅にも、関わっていただきたいですね。病院で技術を磨いて、ぜひ地域に⼊ってみてほしいと感じています。
訪問看護の利⽤者さんからエネルギーをもらいながら、⽇々の仕事に向き合っています。互いに⽣かされている感覚です。時間をかけて少しずつ皆さんと馴染んでいきたい。地域をつなげる地域おこし協⼒隊になりたいです。
今だからできることを、飯舘で
清々しい朝、空気がおいしいなと感じます。⾃然の匂い、⿃のさえずり。ゆっくり流れる時間を楽しんでいます。村内で開かれるイベントの運営に参加するなどして、新しいつながりも⽣まれています。
同年代の皆さんが、地域おこしに⼒を尽くしてきた、そして今も挑戦を続けている飯舘村で、私も頑張ってみたい。⽉⽇を重ねてきたからこそ、今だからできることを。
「健やかに暮らせるいいたての会」は、それぞれの⼈が個性を⽣かし、思いを持って活動しています。少⼦⾼齢化は全国的な課題で、震災を乗り越え地域を盛り上げていこうという取り組みは、さきがけのモデルとなるでしょう。飯舘村は、新たな移住ブランドを確⽴できる、可能性を秘めた場所だと感じています。