星野勝弥さんが代表を務める「あがべご訪問看護ステーション」。5人の看護師が所属し、利用者約20人の定期訪問を担っています。
看護師と保健師の資格を持つ星野さんは、「飯舘村に帰還する高齢者の暮らしを支えたい」と、平成29年、避難指示が解除されたばかりの飯舘村へ移住。飯舘村地域包括支援センターでの勤務を経て、令和2年に訪問看護事業を立ち上げました。
星野さんは、ギリシャ語「アガペー(無償の愛)」の意味を重ねて、事業所を「あがべご」と命名しました。看板のイラストは、星野さんの奥様が描いています。
訪問看護とは、看護師が、医師やケアマネージャーと連携し、在宅で療養生活を送る方を訪問して看護を行うサービス。日常生活の看護、疾病の悪化防止や予防の支援、ターミナルケア(終末期医療)、心のケア、服薬の管理など、サービスの内容は多岐にわたります。
介護保険の対象は、要介護・要支援の認定を受けていて主治医が必要と認めた方。一方、介護保険を使わず自費で利用する場合には、個々に合わせたフリープランで利用することも可能です。星野さんは「家族の負担を医療の面から少しでも軽くできれば。まずはケアマネージャーや医師に相談をしてほしい」と話しています。村内に拠点を持つ「あがべご訪問看護ステーション」では、いいたてクリニックの医師で訪問診療を行っている本田徹先生との連携も、ケアの効果を上げています。
この5月からは、企業雇用型協力隊として、井口栄子さん(大久保・外内)がスタッフに加わりました。井口さんは南相馬市の出身で、関東圏で看護師として働き、家族の介護と看取りも経験しています。
井口さんは、昨年、本田医師の活動に触れ、共鳴して飯舘村への移住を決意。「地域をつなぐ協力隊になろう」と訪問看護の仕事を選びました。
「それぞれに経験を積んだ人が、志を持って、スタッフになってくれています。多様な力をチームの強みとして、利用者さん一人ひとりのニーズに合わせたケアを心がけたい」と星野さん。地域や関係機関と連携を深めながら、あがべごの挑戦は続きます。