宿泊体験館「きこり」は、一般財団法人飯舘村振興公社が運営する宿泊・体験施設です。
静かな森に囲まれた本館と三つのコテージには合計で最大二十数名が宿泊可能。本館には大浴場や岩盤浴の施設があり、大中小三つの会議室も備えています。
現在は素泊まりだけですが、ランチタイムには軽食コーナーを利用できます。会合等でのお食事をご希望のお客様には、施設外の飲食店から料理をデリバリーしてもらうこともできます。
客室は明るくゆったりとした作りで、窓の外には緑鮮やかな癒やしの空間が広がっています。
敷地内から続く遊歩道を歩けば豊かな水をたたえた「あいの沢」やオートキャンプ場もあり、晴れた夜は降るような星空、初夏の夕暮れには幻想的なホタルの乱舞が楽しめます。ピザ窯などキャンプ場の施設も利用可能です。
「きこり」は原発事故による避難で一時閉鎖されましたが、全村避難が解除された直後の平成29年5月に宿泊営業を再開。一部改装の上、令和5年6月にリニューアルオープンしました。また、同6年7月には同じ敷地内に村営の農業研修館「きらり」が開設され、指定管理者として同公社が運営を受託。つまり「きこり」の職員が「きらり」の維持管理も担っています。 現在のスタッフは9人(常勤8人、パート1人)。神奈川県出身で飯舘に移住した女性は、こう話してくれました。
「仕事はとても楽しいです。どうすればもっとお客さんに来てもらえるかを考え、スタッフと 話し合いながら一つ一つ実行しています。5月は(端午の節句に合わせて) かぶとを飾ったり、6月になればアジサイをかたどった折り紙を壁に張ったり、とか。私自身も四季折々の変化を楽しみながら働いています」
「きらり」 やキャンプ場と合わせ3施設の総支配人を務める清水亘さんは元々、福島市の飯坂温泉で宿泊業の仕事に長く携わったプロ。清水さんによると、2年前の新装オープンから利用者は着実に増え、学生の研修や体験ツアーのほかビジネス目的のお客さんも多くなっているとか。繰り返し泊まる常連さんの中にはわざわざスタッフにお土産を持ってきてくれる人もいて、人間的な交流が芽生えているそうです。
いま目指しているのは(東日本大震災以前は行っていた) 宿泊客への食事提供の再開。設備面の準備や保健所の営業許可取得など課題はいろいろありますが、6月にはスタッフ2名の新規採用も予定し、今秋にも実施できるよう着々と準備を進めているところだそうです。
「今は従業員に残業をお願いすることはほとんどないものの、正直言って宿泊等、現在の対応だけで手 一杯の状態です。これから新たに取り組んでいきたいことはたくさんあるので、5、6年先を見据えて人員面も充実させていきたいと考えています。働きながら仕事を覚えてもらえばいいので、経験は問いません。明るくて笑顔をたやさないような人に来てほしいですね」。清水さんはそう話しました。
復興を支える究極の要素は「人」。外から来る人を迎え、地域とのつながりを育んでいく「きこり」の役割は今後、ますます大きくなっていくことでしょう。
一般財団法人飯舘村振興公社
宿泊体験館きこり
福島県相馬郡飯舘村深谷字市沢166-6
Tel.0244-42-1012(電話受付 午前9時〜午後6時)
Fax.0244-42-1019
会社HP:http://iitate-kikori.jp/<外部リンク>
※職場体験、見学のお問合せ先 0244-68-2850(いいたて移住サポートセンター)